最近はiPhoneにも搭載されているTYPE-Cですが、これはとても便利な反面、規格の曖昧さからTYPE-Cを搭載したパソコンやスマホでも出来る事が違っており消費者を混乱させています。また、ハードウェアだけではなく、ケーブルもそれぞれ仕様が異なっており、これでは消費者が何を買えば良いのかわかりませんよね。そこで今回はケーブルの話をします。
TYPE-Cケーブルは1つではない
TYPE-Cには規格(標準的にこういう機能を持たせなさいよってルール)があります。ただ、必ず守らなければいけないというルールではありません。TYPE-Cは様々な動作ができるため、完全に規格に沿って作ろうとすると、ハードウェアもケーブルもコストが高くなってしまいます。メーカはできるだけ安価に消費者に届けるために、出来る事を制限し、それに見合ったケーブルを作っているのが実態です。
例えば、よく100均で売っている充電専用のTYPE-Cケーブルは通信用の信号線が省かれています。このケーブルではパソコンやスマホに接続してもデータのやりとりはできません。また、iPhone15Proも本体はUSB3.2で動作できるものの、添付しているケーブルはUSB2.0という古い規格の通信線しかなく、USB3.2の信号線を省いています。iPhone15Proを使っている場合は、ケーブルをUSB3.2に対応している物に買い替える事で、本来のTYPE-Cの特徴を生かす事ができます。
とりあえずUSB4に対応したケーブルを
まずは、フルスペックのケーブルを1本は持っておきましょう。仕様制限されているケーブルに比べて少し高いですが、少なくともケーブルが原因で機能に制限が掛かることは無くなります。(外観からは分からないので、購入したらどこかに印を付けておくことをオススメします。)
フルスペックの定義はこれといって決まっていませんが、TYPE-Cの全信号が結線されているケーブルと考えてもらえれば良いです。現在であれば、USB4やThunderbolt4に対応した物で、且つPDが100W以上に対応している物であれば問題ありません。PDはPowerDeliveryの略です。TYPE-Cケーブルは接続相手と双方向に電源供給ができます。この時の電力もケーブルによって上限が決まっていますが、とりあえず100Wに対応していれば、困ることはないと思います。
ケーブルの長さに注意
TYPE-CケーブルやUSBケーブルはその仕様によって、おおよそのケーブルの長さが決められています。
例えば、USB4の40Gbps伝送に対応した物は最大0.8mとなっています。これも絶対的なルールではなく、あくまでもケーブルの製造業者に向けた参考情報ですが、この長さを明らかに逸脱したケーブルは考えものです。
ケーブルが長くなればなるほど、内部に通す電気信号が劣化(減衰)します。もちろん、長く設計してもきちんと製造業者が検証を行い、USB4であればUSBの認証機関のテストをパスした物であれば問題ありませんが、それでも0.8mと決められているものを、2mで製造するのは物理法則的にもかなり無理があります。
ECサイトでは多くのTYPE-Cケーブルが販売されていますが、中にはその様なケーブルも存在しています。この様なケーブルを使うと動作が不安定になる原因となりますので、購入の際は信頼のおけるメーカ製で、認証を取得している物を選ぶ様にしましょう。
目的に応じて使い分ける
とは言っても、USB4やThunderbolt4のケーブルはそれなりに高価です。スマホを充電するだけの目的なら、安価な充電用ケーブルを使いましょう。また、TYPE-Cが付いている機器には殆どの場合、ケーブルも添付されています。このケーブルはメーカーが機器との組み合わせを保証していますから、自宅ではそのケーブルと機器を組み合わせて使うのが無難です。
但し、旅行や出張など外出先にそれらの機器を持ち出す場合は、それに併せてケーブルを何本も持ち歩くのはナンセンスですから、USB4ケーブルを1本と、少し容量の大きなTYPE-CのACアダプターを1個持って出かけるのがスマートですね。
購入時はとにかく仕様を確認
最初に書いたとおり、TYPE-Cは機器もケーブルも出来る事が統一されていないことで、消費者に多大な混乱を招いています。この自衛手段としては、このケーブルは何が出来て、何が出来ないのかという事を購入時に確認するしか無いのが現状です。製品情報に制限事項があれば必ず記載されていますので、使用目的に応じて正しくケーブルを選びましょう。
TYPE-Cについては別記事で詳しく記載しています。もう少し深く知りたい方はどうぞ。
