SMBマルチチャネルでいこう

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最近、MinisforumのAtomMan X7 TiというミニPCに乗り換えた。素晴らしい使い心地なのだが、個人的にはひとつだけ問題がある。これまで使ってきた10GbEのNICが本機に載せ替えられないのだ。どうしようかと考えた挙句の結論。

ミニPCなのに5GbE NIC

AtomMan X7 Tiの詳細は別記事に譲るが、最近増殖中のミニPCの中ではかなりユニークな商品だ。

Core Ultra9 185Hモデルを選定、こんなに小さいのにそれまで使っていたRyzen7 3700Xを搭載したデスクトップの性能を凌駕している。素晴らしい。

中でも注目すべきは内蔵NIC。Realtekの5GbE NICを2つ搭載している。アキバで売っている自作用マザーボードでも5GbEのNICを搭載している物は殆ど無い。10万円そこそこの価格で、Core Ultra9と5GbEのNICが2つ付いているというハードウェアを販売出来ているMinisforumに拍手。

AtomMan X7での懸念

そんな感じで一目惚れしたAtomMan X7だが、ひとつだけ懸念があった。

ミニPCなので当然だが、PCI-Expressによる拡張ができない為、これまで利用していた10GbEのNICが装着できない。自宅内の有線LANは全て10GbE化を実現していたため、これからメインマシンで使う予定なのに仲間外れになってしまうのがどうしても惜しい。AtomMan X7はOculinkポートを搭載しているので、ここからPCI-Expressを外出しする案も無くはないが、ここにはグラボを接続しようと思っているので予約しておきたい。

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SMBマルチチャネルが解決

以前どこかで見た記事で、SMBマルチチャネルの説明があった事を思い出した。これはSMBプロトコルの拡張仕様らしく、簡単に言うと複数の有線LANポートを束ねて通信帯域を増やす方法らしい。これを使えば、5GbEを2つ束ねて10GbEで通信できることになるかな?さっそく実験してみることにした。

NASに設定する

メインパソコンから最もアクセスするのはNAS。よってNASと高速通信させるための方法を再調査したが、PCとNASの両方を2個のNICを使って接続するのだよって解説記事が多かった。

いま使っているNASはQNAPのTS-264。2.5GbEが2個標準搭載されているが、ここに更に10GbEのNICを増設している。今回の実験目的から考えると2.5GbEx2で接続しても5Gbpsにしかならない。

先の調査から2個使わなければ実現できないと思い込んでいたが、10GbE側を1本だけ10GbE対応のスイッチに接続し、AtomMan側は5GbEを2つともスイッチに接続する構成で試してみた。

その上で、TS-264のネットワーク設定からSMBマルチチャネルの設定を行った。

SMBサービスとSMBマルチチャンネルを有効にする。その後、SMBマルチチャンネル設定に進む。

SMBマルチチャンネル設定画面で手動設定を選び、マルチチャネル化するNICを選ぶ。ここでは10GbEを搭載しているAdapter3を選んだが、標準搭載のNICだけで使う場合は2.5GbEのAdapter1と2をチェックすると良い。

NAS側の設定はこれだけ。AtomMan側は2本のLANケーブルをスイッチに接続するだけで特に設定は不要らしい。何だかループしてしまいそうだが、ちゃんと動作するとの先輩方の記事を参考にした。

さっそく速度を検証

まずは5GbEを1本の速度

まずはAtomManのLANケーブルを1本外して測定。つまり5GbEで事前測定。

シーケンシャルアクセスは約590MB/sだった。これは約4.7Gbpsになるため、概ね5Gbpsの性能が出ていることがわかる。これでも十分なのだが、続けて外したもう1本のLANケーブルを接続してみる。

5GbEを2本の速度

先ほど外したAtomManのLANケーブルを接続。これで5GbEが2本の構成となった。

シーケンシャルリードで約1,232MB/sという結果を得た。これは約9.9Gbpsになる。つまり5GbEを2本束ねて倍速化した効果が確認できる。ランダムアクセスは少し下がっているのが気になるが、こんなに簡単な設定だけで通信帯域が増強される事に少し驚いた。なお、SMBが前提なので、iSCSIで接続したドライブの場合は効果が得られない様だ。

お手軽に帯域を太くするならコレ

自宅内に10GbEのネットワークを構築といっても、スイッチもNICもそれなりの投資が必要だ。これらの価格がこなれてきて、いまの1GbEの様に普及するのはもう少し先になるだろう。

今回はNASをターゲットとしてSMBマルチチャネルを設定したが、普通のSMBサーバーでも設定できる様だから、お手軽に通信帯域を太くしたいなら是非試してみると良いかもね。

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