パソコンにはグラフィックス機能が必ず備わっています。パソコンによってはその性能を売りにしている物もありますが、パソコンを選ぶ基準としてどの様に考えればよいのでしょう。
画面に絵を描くための機能
グラフィックス機能は、GPU(Graphics Processing Unit)と呼ばれる専用の処理機能が中心的な役割を担っており、CPUと同様にその性能が、パソコン全体の性能に影響します。
この機能の目的はシンプルに言うとディスプレイに画像や映像を描くための物ですが、一口に絵を描くといっても、現代のパソコンの使われ方では膨大な作業を伴います。
ゲームを例にすると、ある瞬間の3D空間の中にキャラクターを配置し、色を付けたり光の当たり方から影の位置を計算したり様々な処理を行った後に、その生成した画像を小さな点に分解してディスプレイに送信します。しかもそれらの画像は人間が操作することにより常に変化していく為、その都度再計算を行い画像を作り直す必要があります。更にこの画像をディスプレイに対して1秒間に60回(リフレッシュレート60Hzのディスプレイの場合)出力する必要があります。
この処理をCPUが順番に処理したのでは追いつきませんし、他にやるべき仕事が止まってしまいます。GPUはこれらの処理を同時に実行できる様に並列計算できる様に作られています。この並列計算を高速に行えるGPUほど、高性能なGPUということになります。
CPUはGPUに対してどの様な画像をどの位置に配置し、どの様に計算するのかだけを指示する管理監督者であり、それに従い実際に絵を描く作業者がGPUということになります。
GPUメーカは主に2社+1社
このGPUを作っているメーカーは現在のところ、アメリカのNVIDIA社とAMD社の2社になります。最近はインテル社も参入してきました(正確に言うと過去にもトライしていますが商業的には失敗しています)。
ご存じの通り、インテルとAMDはパソコン用のCPUをリリースしていますが、両社の多くのCPUはGPUを内蔵しています。このため、外部にGPUチップを搭載しなくてもグラフィックス機能を実現できる物になっており、ノートパソコンの殆どはこの内蔵GPUを利用しています。
外付けGPUと内蔵GPUの違い
CPUにGPUを内蔵していても、敢えて外付けでGPUを搭載したり、デスクトップパソコンではグラフィックスカードを増設する場合があります。主にゲーマーやCADを使った作業を行う方がその様な選択をされますね。
この理由は性能にあります。CPUに内蔵しているGPUは消費電力的にそれほど高速に動作できないのもありますが、GPUにはフレームバッファと呼ばれる絵を描くためのキャンバス(専用のメモリー)が必要になります。
通常の構成ではフレームバッファとGPUは直接接続され、GPUはそこに高速に絵を描いていきます。しかしながら、内蔵GPUの場合はCPUが利用するためのメインメモリーと共有する作りになっています。メインメモリーのデータの通り道は1つしかありませんから、CPUとGPUがそれぞれ交互にメインメモリーを使うことになります。
これにより、CPUがメモリーを使って処理をしている間はGPUは絵を描くことができませんし、逆にGPUが絵を描いている時はCPUがメモリーを使う様な処理を行うことができません。つまりグラフィックス性能と共にパソコン全体の性能が落ちてしまうのです。
これも、パソコンの使う目的によっては内蔵GPUでも十分です。超大型の3Dゲームでなければ、多くのゲームは画質などを調整して普通に遊べるレベルの性能も持っていますし、WEBや動画を見るだけなら全く問題ありません。
パソコンの仕様表から判断する
パソコンを選ぶ際に外付けGPUタイプなのか、CPU内蔵GPUなのかは仕様表から判断します。某パソコンメーカの仕様表から見方を説明します。
- CPU内蔵GPUの例
-
ここで、グラフィックスはインテルのArcというGPUが搭載されている事がわかります。但しArcは外付けGPUでも存在していますので、この名称だけでは判断できません。一方でビデオメモリ(フレームバッファ)がメインメモリからシェアと記載があります。先に説明した通り、この部分でCPU内蔵GPUであることが判ります。
- 外付けGPUの例
-
グラフィックス部分を見ると、NVIDIAのGeForceRTX 2050というGPUが搭載されています。現在のところNVIDIAのGPUが内蔵されたパソコン用CPUはありませんからこの点から外付けである事が判るのと、ビデオメモリにDRAMの規格と容量がきちんと書かれている事から、フレームバッファが独立して存在している、つまり外付けGPUで構成されていることが判ります。
コストと性能のバランスを見よう
ノートパソコンにおいて外付けGPUが搭載されたモデルは、内蔵GPUタイプに比べてどうしても価格が高くなりますし、デスクトップパソコンに装着するためのグラフィックスカードでは高い物では数十万円する物もあります。
お手軽にパソコンを使う方とeSPORTSの選手では求められるグラフィックス性能が全く違います。使いたいソフトがある場合は、推奨されるグラフィックス性能の指標がありますのでそれを参考にしたり、特にゲームではそのグラフィックス性能でどの程度快適に遊べるのか様々なサイトで公開されていますので、許された予算の中で最適な物を選ぶと良いでしょう。